大方 健二郎 東京大学文科Ⅰ類,慶応大学(経済)

卒業年度:08年 大方 健二郎

合格大学:東京大学文科Ⅰ類,慶応大学(経済)

東大に行こうと決めたのは中学3年あたりで,詳しくは覚えていません.そのころはまだ勉強なんてあまりしておらず,成績もかなり落ち込んでいる時期でした.しかしながら,高校2年,3年となり大学受験が近付くにつれて危機意識も出始め,次第に勉強をするようになりました.結果的に東大文科Ⅰ類に合格したわけですが,ここまで来て思ったことをここに書き,後輩に役立ててほしいと思います.ただし,これは一個人の経験談であり,しかも東大に限った事なので絶対というわけではないので注意してください.
①まず,わかっておいて欲しいこと.

「数学ができないから文系の方がいい」「文系だから数学は不要」とかいう神話を信じている人がいまだに多いかもしれませんが,これは全くの誤りです.先日,オリエンテーション合宿に行ったのですが,ここで聞いた話によると多くの人が数学は最低でも2完(4問中)しなくてはいけない,と発言しています.まだ正確な得点は出ていないのですが,私自身もこの年の問題は簡単で,3~4完はできていると感じていました.実際のところ,東大に限らず国立を受験する場合,数学ができるのは必須条件となっています.よく言われることですが,文系科目や英語では差はつきません.相手もかなりできる生徒が来るのですから,当然と言えば当然です.しかしながら「数学できなくても他の教科で80/120とれれば結構行くでしょ」なんて考えている人もなかにはいるようです.ですが今回のように問題が簡単だったならどうでしょうか?今年の文科Ⅰ類の合格最低点は365点でした.たとえセンターで900点取ったとしても,これは110点に圧縮されることとなり,あと255点必要です.3教科で80点とっても15点足りません.そもそも,英語,国語,社会の平均点が80点なんてこと自体が稀であり,言わせていただければそんなの今の普通の巣鴨生では不可能です.模試で常にA判定でも取れるような人なら出来るでしょうが,そんな人は1学年にいて1人です.要するに数学なしで東大に行こうなどという甘い考えを持っているようだたら,まず落ちるということです.ここを捻じ曲げてはいけません.
② 私の体験談.

私が受験を意識し始めたのは上に記したように高校2年からでした.しかし,①で言ったように東大に行くには数学は必須であり,これの基礎が出来上がったのは中学3年,高校1年の時の数学クラス選抜時でした.落ちそうになりつつも問題集をただひたすらやることで後々の数学の力とでもいうべきものがついたのだと思っています.動機は不純で,ただ修学旅行に数クラの人と行きたいというものでしたが,しかしこれでも勉強をするきっかけとなったのは良かったと思っています.

高校2年になるとこれまでさぼっていた英語のツケが回ってきました.なにしろ単語がわからない.構文もへったくれもありませんでした.なんとなくで60~70程度の点数はとれていましたが,英語が読めないことに焦りを感じだし,単語集をたくさんやることとしました.まずやりだしたのはターゲット1100で,これで基礎を固めてからシステム英単語を3周程しました.そのあとはCore1900を2周し,高校3年に入ってからは毎日Data Base5500をやっていました.ただ,注意点として何カ月もかけてだらだらとやるのではなく,1日3~5ページと目標を設定してやることが必要です.1冊1周に4か月もかけていたら終わりません.量の多さに途方に来るのが関の山でしょう.やるときめたらきっちりやると覚悟を決めなくてはだめです.ただし,DB5500については,Lv.4は不要で,Lv.1~3を何回も何回もやりましょうDB5500は単語集の中では最も難しい部類に入るのでこれ以上のものをやる必要はありません.

国語に関しては,Z会の教室に通っていました.私は一瀬先生に教わり,学校の成績,模試の成績が飛躍的にあがりました.一瀬先生には本当に感謝しています.学習法としては,現代文は「対立」「因果」「同値」「並列」といった構造に着目していくことを教わりました.回答法として,「どういうことか」には傍線分解,「なぜか」には論理の飛躍を見抜くということを学びました.また,どちらも基本的には文章中から抜き出せばよいということも教わりました.古文,漢文に関しては,実践的に文法や単語を覚えていくということをしていきました.毎週の小テストで点数をとれるようにしていき,またe(ね・へなど)+らorりorるorれ は完了(実際には「え,らりるれ」と言われました)とか,に+あり は断定(「にありと笑ったら断定」)などとその場その場で助動詞の表れ方を覚えていくのが非常に効果的でした.また単語も700単語ほど覚え,今では古文漢文は得意教科となっています.学校の成績も今までは60ぐらいだったのが80~90ぐらいにまで伸びました.

社会については基本的には学校で十分でしたが,世界史だけZ会に行っていました.ただし,荒巻先生ではありません.学校で覚え,塾で構成力を磨く,と役割分担してもいいかもしれません.

ここまではセンター試験前までに関することですが,そのあとになると勉強法が変わってきます.そのあとはもうとにかく過去問,演習でした.英語は25年を(長文と訳と文法のみ)やり,数学は模試の過去問をのべ14回分(56問),世界史も大論述を15年分ほど(文章の構成をしただけで実際に書いてはいませんが)やりました.地理は5年分の過去問をやりました.飽きないでやり続けるのが大切です.

また,模試の判定についてですが,河合1回:C  2回:A 駿台1回:C 2回:Dでした.正直評判ほど駿台の模試はあてになりません.問題は傾向と違う変な問題が多いですし,採点は妙に厳しいです.復習はしっかりすべきですが,判定が悪かったから気に病むことはありません.
③ 合格後の感想.

合格して,他の東大の同級生と会話をしていくうちに,巣鴨生がなぜだめなのかがわかってきました.数学を軽く見ているというのもそうですが,大切なのは最後の追い込みが足りていないということです.結局のところ,最後の1,2か月で根性出してやったやつが合格するのです.他の人はその時期には25年を2周した,とか問題集全部やった,とか言っています.どうも巣鴨生は「現役は最後まで伸びる」とかいうのに惑わされているみたいで,「まあ大丈夫だろ」と気が緩むようです.「現役は最後まで伸びる.」伸びません.勉強している人が伸びるのであって,現役が伸びるわけでは決してありません.また,センターも侮ってはいけません.聞いた中で,800下回っている人は1人しかいませんでした.(ちなみに私は780でした.)センターで800いけないのにそのあと勉強しないのでは受かるはずないです.しっかり勉強してください.

正直,成績がいいから東大に受かる,とは感じていません.やる気があるから東大に受かるのだと思っています.やる気があるなら勉強します.勉強するなら必然的に成績も上がります.だから成績のいい人が東大に受かっているわけで,本質的な「やる気」という部分が欠如しているからこそ成績も出ないのだと思います.いつまでもぬるま湯につかってだらだらとしているようでは合格できません.これはほかの大学においても同じことだと思っています.ゲーセンなりゲームなりを封印する覚悟ぐらいしましょう.ちなみに私はパソコンを1年間封印しました.

 

【miscellaneous thoughts】

「僕は学校で勉強しているから」

健二郎君が家であまり勉強しないので,心配した親御さんが注意したときの言葉だそうです(校長先生から伺いました).確かに….放課後に教室やロッカーの上で勉強していた姿が思い出されます.

英語は高2までサボってたんですね.そんな印象もないんだけどなあ.

追い上げ方が素晴らしい.ふつうは焦って塾や予備校に飛び込むんです.「何とかして」といった具合に.でも,健二郎君がやったのは「身体づくり」.身体をつくらずして試合に臨めないように,単語も覚えず「東大英語実践演習」なんてこなせません.結局6年間,英語に関しては塾や予備校に行かなかった.東大入試の英語の点数は本校合格者の中でもトップクラス.総合成績では,健二郎君が文系合格者の中でダントツのトップ.

「健二郎君の追い上げ」は巣園健児の得意技だったそうです.先輩の先生がそっと教えてくれました.